イギリスのティータイムに欠かせない焼き菓子「スコーン」。
最近では日本でもスコーン専門店が出来たり、スターバックスなどカフェのスイーツメニューのひとつとして身近な存在になってきています。
でも…誰もが一度は感じたことがあるでしょう。
スコーンって
何でこんなに
モサモサなの( ゚Д゚)?
単体で食べ進めようものなら、口の中の全水分が吸い取られ飲み込むのも一苦労。ときにはムセるしまつ。
…私だけではないはずです 笑
それもそのはず。
イギリスではスコーンをクロテッドクリーム・ジャム・ミルクティーとセットで食べるのが「常識」なのです!
この記事では
- スコーンとパンの違い
- スコーンがモサモサな理由
- スコーンの食べ方&マナー
- イギリスでお馴染み「クリームティー」とは?
- クロテッドクリームって何?
について書いています。
パンともケーキともクッキーとも違う
「スコーン」。
読み終わる頃には、あなたもスコーン特有の“モサモサ”が愛おしくなっているはずです!!(言い切りますよ 笑)
「スコーン」とは?パンとの違い
スコーンはスコットランド生まれの焼き菓子。16世紀には既にその原型があり、19世紀後半に今の形になったと言われています。
誕生の地であるスコットランドの国王が戴冠式で座るイスの土台の石「The stone of Scone」に形が似ていることから名付けられたそう(諸説あります)。
小麦粉、ベーキングパウダー、バター、砂糖に 牛乳を加えてまとめた生地を折りたたみ、型抜きしてからオーブンで焼きます。
パンに似ていますが、違いは生地を膨らませるための「発酵の行程」があるかないか。
★パン…………イースト(酵母)を入れる
★スコーン……ベーキングパウダーを入れる
ベーキングパウダーを入れて発酵無しで焼けるスコーンは気軽に作れますね。
ちなみに、ケーキとの違いは「卵を使うかどうか」。卵入りにすると生地のまとまりが良くボリュームとコクが出ますが、サクサクとした食感が良ければ卵なしで作るのがオススメです。
スコーンは“モサモサ”食感が当たり前!
紅茶をこよなく愛する国・イギリスではカフェやホテル、そして各家庭でも手作りのスコーンが日常的に食べられています。
作り方・大きさ・味・食感・具の有り無しまでそれぞれが違うので、「イギリスのスコーンはこういう味です」と断言することは難しいもの。
ただ1つ言えるのはどんなスコーンでも、そのまま食べることはほぼ無いということ!
スコーンはクロテッドクリーム、ジャム、ミルクティーと一緒に食べるものなのです!!
つけてもつけなくてもいい
ではなく
セットなのです!!
乳脂肪分の高い牛乳を煮詰めて一晩置き、表面に固まった(=“Clotted”クロテッド)乳脂肪分を集めたイギリス南西部うまれの乳製品。
乳脂肪分が60%前後で、バター(同80%)と生クリーム(同40%)の中間のようなクリーム。塩味は無くコクがあり、見た目よりさっぱりとした味です。
イギリスでは馴染みが深く、スコーンにたっぷりとのせて食べるのが定番!
イギリスの定番「クリームティー」とは?
イギリスで「スコーン」を味わうティータイムはおもに2つ。
①ケーキ・サンドイッチなど豪華なティーフードと一緒にゆっくり紅茶を楽しむ「アフタヌーンティー」
②焼きたてスコーンとミルクティーを味わう簡単なティータイム「クリームティー」
この「クリームティー」はティールームやカフェ、各家庭でとる日常的でカジュアルなティータイムです。
焼きたてスコーンに、ジャムとクロテッドクリームをたっぷりのせて食べると…クリームのしっとり感とジャムの甘酸っぱさが口いっぱいに広がります(´ー`)♡
そしてミルクティーを流し込むと、スコーンのモコモコとクリームのコクがうまく調和して、スッキリとのどを通り余韻に包まれる…そしてまた食べたくなる…!
スコーンとミルクティーで幸せを感じられる「クリームティー」はイギリス人が大好きなおやつ&リラックスタイムとして暮らしに根付いているのです。
イギリス流 スコーンの美味しい食べ方
スコーンを食べる時に浮かぶ、3つの疑問。
- ナイフを使って切るの?
- 手でつかんでいいの?
- ジャム、クリームの量や順番は?
これらを解決しましょう!
《スコーンの食べ方》
①スコーンは手で割って食べる
スコーンの真ん中にある割れ目、“オオカミの口”と呼ばれる部分に指を押し当てるようにすると、ぱっくりキレイに上下2つに分けることができます。ナイフを使わなくてOK!
②先にジャムをたっぷりのせる
焼きたてスコーンの熱でクロテッドクリームがとけるのを避けるため、ジャムを先にのせます。お好みでたっぷりと!
ちなみにジャムはストロベリーを基本に、ベリー系を合わせます。イギリスではマーマレードジャムは“朝食のパン用”という認識があり、アフタヌーンティーやクリームティーのスコーンに添えて出されることはほとんどありません。
とはいえ、お家ティータイムでは好みでいろいろと試してみるのがオススメです!意外な組み合わせが見つかるかも。
③クロテッドクリームを上にかさねる
ジャムの上にクロテッドクリームを重ねてのせます。もちろんカロリー気にせずこちらもた~っぷりと!笑 イギリス流でいきましょう。
この②ジャムと③クロテッドクリームの順番は逆でもOK!一般的には上にのせたものの風味がより感じやすいので、どちらも試してみてお好みを見つけて下さい。
イギリスの南西部にあるコーンウォール州とデヴォン州。ジャージー牛の飼育が盛んでクロテッドクリームの産地である2つの州は隣り合っていますが、スコーンを食べる時のスタイル(ジャム・クリームを塗る順序)に違いがあるのです。
★コーンウォール式…ジャムが下
★デヴォン式…クロテッドクリームが下
クリームが焼きたてスコーンの熱で溶けるのを防ぐために、ジャムを先にぬるのが一般的です(コーンウォール式)。ではなぜデヴォン式はクロテッドクリームが先なのでしょう?
諸説ありますが…
- クリームの一大産地だから溶ける分量を気にせず好きなだけのせられる
- ジャムの上にクリームは塗りにくいから先にクリームが理想的
などの主張があるようです。
最初にクリームをぬることで、スコーンの余熱でクリームがとけて生地の表面にしみ込み、じゅわっとしっとり食感になることも魅力のひとつだとか。どちらも「うちのやり方が一番!」と譲らないのが面白いですよね。
この「ジャムかクリームどっちが先か?」は、「ミルクティーはミルクを先に入れるのか紅茶を先に入れるのか」に似たような論争?で、イギリス人は本当に紅茶が好きなんだなぁと感じます。
うーん。正直、どちらも美味しいので
お好みの方で楽しみましょう!笑
なお、日本では色々なフレーバーのスコーンが販売されていますが、イギリスではシンプルなプレーンのスコーンが圧倒的に多いそう。これもジャム・クロテッドクリームをつけて食べる習慣が影響しているのかもしれません。
スコーンに合わせる紅茶の種類は?
スコーンにはストレートティーよりもミルクティーが断然オススメです。ミルクを入れても負けないくらいに濃厚な味わいの紅茶を選びましょう。わからなければ「アッサム」なら間違いないです!
オススメ①アッサム(インド)
栗やサツマイモに似た甘い香りとコクがある「アッサム」。ミルクを入れるとまろやかで甘みが広がる最高の一杯が楽しめます。スコーンが主役のクリームティーには一番のオススメ!
アッサム紅茶はスーパーなどでも手軽に買うことができるのが嬉しいですね。
オススメ②ディンブラ(スリランカ)
しっかりとした味わいと適度な渋みがあるスリランカの「ディンブラ」。バランスが良くどんなお菓子にも合う優等生で、少し濃い目に淹れてミルクを足すとスコーンの美味しさを引き立ててくれます。
「ディンブラ」と書かれた紅茶はあまり見かけないなぁ…という方は、KALDIなどで販売されているジャンナッツの「セイロン」はいかがでしょう?
こちらは100%「ディンブラ」茶葉を使用しています。この紅茶はどんなお菓子とも良く合うのであると便利!私も愛飲しています。
オススメ③ルフナ(スリランカ)
スリランカの紅茶の産地の中で一番南の低地にあたるのが「ルフナ」。コクがあり渋みが少なくマイルドな紅茶はほんのりスモーキーで焦がした砂糖のような甘みも感じます。
ストレートでも美味しいですが、水色が濃いのでミルクティーにするとキレイなキャラメルブラウンになりコクのある味わいも楽しめます。クルミやチョコチップの入ったスコーンなどと合わせてみては?
ルフナの紅茶はルピシアなどの専門店もしくはネット販売で手に入れることができるので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
クロテッドクリームはネット購入が確実!
イギリスでお馴染みの「クロテッドクリーム」ですが、日本では普段の食事で使う機会が少ないことから、どこのお店でも手に入るものではありません。
成城石井・百貨店の食料品コーナー・富沢商店・一部イオンなどで取り扱いがありますが、コストコやKALDIで探してみたところ売っていませんでした(※2022年9月時点)。
ということで、確実に手に入れるならネットショッピングです。
代表的なクロテッドクリームを3点ご紹介します。
①中沢乳業「中沢クロテッド」
一番手に入れやすいクロテッドクリーム。中沢乳業が独自の技術と製法で本場イギリス同様のものを再現した商品です。
賞味期限は10日~2週間。スコーンを食べる際には惜しみなく使い切りましょう!
100g入りで350円~500円と買いやすい値段も魅力ですね。
②タカナシ「英国伝統のクロテッドクリーム」
イギリスで伝統的に作られているクロテッドクリームを再現した商品。北海道の厳選されたクリームのみを使用した国内製造です。
表面を覆う「クラスト」と呼ばれる部分は独特の舌触りと甘みがあり、中はねっとりとした食感と濃厚な風味ですが、くちどけはさっぱりとしています。
こちらはチルド便(冷蔵品)ということで賞味期限が5~7日と少し短め。生乳のフレッシュさがより一層感じられる点がオススメです。
③ロダス「クラシック・コーニッシュ・クロテッドクリーム」
1890年、クロテッドクリーム発祥の地と言われるイギリス・コーンウォール創業の老舗ブランド。イギリスNo.1ともいわれるクロテッドクリームは濃厚で口どけが良く、スコーンとの相性が抜群です。
本場の味を楽しむなら断然ロダスがオススメ!冷凍での配送が多いので、長期保存が可能です。使いたい時に解凍して味わえる手軽さも便利ですね。
スコーン以外にも使えるの?
クロテッドクリーム=スコーンのイメージですが、使い方は他にも!
- パンにぬる
- ワッフル、パンケーキにのせる
- オムレツに入れる
バターよりもあっさりですが、生クリームよりコクがプラスされておいしくなりますよ。
もちろん、カロリーも増し増しですが…それはそれということで 笑
ティータイムが楽しくなる 愛すべき“モサモサ”
記事を書いているうちに、スコーンはクロテッドクリームを味わうためにあるのでは?とさえ思えてきました。
もっとも、イギリスでは「紅茶を飲むためにビスケットやスコーンを食べる」というくらいなので、案外その思考でも通用するかもしれません。
スコーンはクロテッドクリーム・ジャム・ミルクティーを合わせることで至福の味が完成する!“モサモサ”だからこそ、モリモリ食べられるんですね。
スコーンが主役の「クリームティー」。
ぜひ一度試してみて下さい。
この美味しさは“やみつき”になるはず!
この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。
最後までお読み頂き、ありがとうございます!
ではまた!
【参考書籍】